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この作品にはBL表現があります。
紫鱗曾19代目当主、柳陽緋は、女癖が悪い事で有名であった。
1年に何度も『お気に入り』を変え、酷い時は前日と違う女を傍らに侍らせている事も少なくないといった具合で。
しかし圧倒的なカリスマ性と楯突く者を容赦なく切り捨てる残忍性を持つ彼に意見する事が出来る者など誰もおらず、齢20の当主就任以降も長くその癖は治らなかった。
ある一人の男が現れるまでは。

周りの人間は、彼はいつの間にか陽緋の下に居たと言う。
顔つきから中国の人間ではないと言われてはいたが、全てが謎の人物。
にも関わらず、陽緋はヴィエリと呼んだ彼を溺愛した。
まず、柳家の人間以外の立ち入りが禁じられていて、それまでの女達は一人として入れなかった離れに彼の部屋を作り、囲い込んだ。
更に使用人を雇い、掃除などを全て行わせ、自分も頻繁…いや、毎日彼の世話をした。
また、自分や柳家の者、使用人以外に会うような時は、頭に薄手のローブを被せ、顔を見えないようにするなどもした。
その為、彼の存在を知っている人間はごく僅かで、素顔を知っている人間はほとんどいない。
だから唯一彼について知れ渡っているのは、

丁重に扱わないと、陽緋に殺される。
その事実だけであった。


ある時、年に一度本邸で開く梅見の会に、陽緋がヴィエリを連れてきた。
「ヴィエリ様は何かお飲みになられますか?」
陽緋に寄りかかったままのヴィエリにある部下が訊ねれば、陽緋が自身の持っていた杯を空にして答える。
「ヴィエリちゃんは俺が用意したものしか飲まないから。代わりに俺のに注いでよ。」
「畏まりました。」
部下は差し出された杯に手にしていた紹興酒を注ぐ。
陽緋はその杯を一度置くと、自分の腕の中にいるヴィエリを愛おしそうに見つめた。
「ヴィエリちゃん。ほら、梅が綺麗だよ。」
「……。」
そう声を掛けても、ヴィエリは顔を上げることはない。
時々体を強ばらせ、陽緋の着ている服を握り締める様な仕草を見せるぐらいだ。
ローブで顔が隠れている為、他の人間には分からないが、少し苦しそうにも見えるその様子に、陽緋はヴィエリの顔を覗き込む。
「…大丈夫?」
そう言って空いた手で腰を撫でれば、ヴィエリの身体の震えが一段と大きくなった。
陽緋は自分の机にあった水挿し型の容器を手に取ると、その飲み口をヴィエリの唇にあてがう。
「ほら、飲んで。」
彼のイメージとは大きく異なる優しい声で、陽緋は言う。
「……。」
促される様に身体を撫でられたヴィエリはゆっくりと中に入った液体を口に含んだ。
その様子を嬉しそうに眺めていた陽緋であったが、彼を抱いていた左手を滑らせ、尻の辺りを撫でた。
その瞬間、声を引き吊らせた様な音が聞こえ、水挿しの中の液体が揺れる。
「…ダメだよ、ヴィエリちゃん。」
陽緋は周りに聞こえないぐらい小さな声で、彼に囁く。
その表情はまるでその反応を待ち望んでいたかの様で。
「こんなところでイっちゃったら、恥ずかしいでしょ?」
「………。」
その一言に、ヴィエリは顔を伏せた。
そして布地を握り締める手に更に力を込める。
まるでそこから、自分の中で暴れまわる熱や痛みを逃がそうとしている様だった。
一方の陽緋は、次第に上気していく呼吸の音を感じながら、水挿しを戻し、再び自分の杯を手にする。
その表情は、思い通りに事が運び、楽しくて仕方ないと言わんばかりの、裂けるような笑みであった。

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Author:川野麟&叶助
・川野麟(小説・ブログ担当)
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