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抗争の現場に降りた時、既に二度目の銃撃戦が始まっていた。
緋蓮とメイソンが連射の出来る銃で容赦ない弾幕を浴びせた事で、相手に「治安組織は来ない」と認識させてしまったらしい。
先程よりも数多くの銃弾が飛び交っていた。
「大丈夫か?」
「…!」
梁は壁沿いに物陰に隠れて道を進み、一番最初に接触した諜報部の構成員に声を掛ける。
どうやら彼が、この現場のまとめ役の構成員の様だ。
「随分派手に“転んだ”な。」
「申し訳ありません……。つけていた事に気付かれた様で。処罰も免れないと自覚しております。」
構成員はそう言って、頭を下げた。
そんな彼に、梁は口角を上げて笑う。
「…なぁに、ここまで戦闘が大きくなるとは思ってなかっただろう。それに相手は滅んだとは言え、ヨーロッパ屈指のマフィアだ。穏便に済ませるなんて思ってないさ。」
「そうそう。接触したら最後。油断なんかしたら死んじゃうよ。」
梁の言葉に一つ前のコンテナに隠れてマガジンを装填していたメイソンが頷く。
「蘇。ちゃちゃ入れている余裕があるならさっさとケリをつけろ。いくら林が公安に手回しや、箝口令を敷く手続きをしているとは言え、限度がある。」
「はーい。了解です、ボス♪」
メイソンはそう応えると、再び前線に銃口を向けた。
パラパラというリズミカルな音の中で、梁は物陰から相手の動きを伺う。
「…まだ結構いるみたいだな。」
「はい……。我々が把握してる状況だと、荷物の搬送に関わっていたのは8人程。どうやらここでその荷下ろしを予定していた様で、恐らく15人程が戦闘に関わってる模様です。」
構成員はそう言って、手元にあったタブレット端末で、自分達がいる地区の地図を梁に見せた。
そこには自分達がいる路地をまっすぐ行くと、車が一台通れるぐらいの道があり、隣に車が乗り付けられる雑居ビルがあることが示されており。
構成員がそこにトラックが停められていると睨んでいる様だ。
梁は口元に手を当てて、ふむ、と唸る。
「この建物にまだ味方が潜んでる可能性もあるな。」
「そうですね……。この道をまっすぐ行くしか、人目につかずに行動する方法はないのですが、この建物からの狙撃に無防備になってしまうので…。」
「つまり…増援をこちらの通りから密かに建物に向かわせればいいのか。」
梁はそう言って、トラックが停められているであろう雑居ビルの前の道を示す。
その時だった。
「その心配はないよ。」
会話をしている二人とは異なる声が聞こえた直後、ターンという甲高い銃声が一発響く。
梁が背後を向けば、丁度二人のいる真横のコンテナの影で、真っ赤な返り血にまみれた緋蓮が物陰でアサルトライフルのボルトを引いて、次弾の装填をしていた。
「さっき一人やった後に迂回して見てきたけど、誰もいなかったし。」
そう答えて、緋蓮は再び、銃身に取り付けられたスタンドをコンテナに乗せる。
「…そんな事よりお前、どこからそんな銃持ち出してきたんだよ…!」
平然と言う彼に、梁は眉間に皺を寄せて問う。
一方の緋蓮はスコープを覗き、敵の動きに注意を払いながら口を開いた。
「相手の裏かいた時にトラックの荷物から頂戴してきたんだよ。丁度、蘇が撃ち始めたから監視が手薄で、ちょっと殺るだけで済んだ。」
「なんて危険な事を…!」
彼の発言を聞いた構成員が思った事を口にした瞬間、緋蓮の視線がぎろりと彼の方を向いた。
「お前らがミスんなきゃ、こんなことにはならなかったと思うけど?」
瞳孔の開き切った、暗所のヘビの様な目で睨まれた構成員は、返す言葉もなく黙りこむ。
そんな彼らの間に挟まれる形になった梁は盛大にため息を吐いた。
「…つまり、あいつらは武器を運び込んでた、ってことか。」
「うん。他にもフルオートにボルトアクション各種ライフル、さらにハンドガンからランチャーまで、選り取り見取りだったよ。」
緋蓮はそう答えながら、引き金を弾く。
火花を散らしながら放たれた銃弾は、まっすぐ飛んでいき、物陰から顔を出した敵の眉間を貫いた。
「つまり、早めにケリを付けた方がいいな…。なりふり構わなくなった時がやっかいだ。」
「突撃します?」
腕を組み作戦を考える梁に、再び弾倉を空にしたメイソンが訊ねる。
「突撃もなにも、お前、防弾チョッキすらも着てないだろう。」
「弾幕張りながら行けばいいんじゃないっすか?その方が楽しいし。」
「……トリガーハッピーめ。」
満面の笑みで、考えの欠片もない言葉を吐く彼に、梁は盛大なため息を吐いた。
…その時だった。
カキン、という軽い金属の音が、隣から響く。
続いて、シューというガスの抜けるような音が聞こえた。
その場にいた全ての紫鱗會の構成員が、その音の主――緋蓮の方を見る。
「よし、じゃ、お前ら行くぞー。」
そう言って彼が放り投げたのは、大量の白い煙を吐く筒、発煙筒だった。
発煙筒は見事に相手の視界を封じ、銃撃が止む。
「っと、チャンスターイム!」
メイソンは嬉々として敵陣に突っ込んでいく。
他の構成員達は度胆を抜かれる形になったが、すぐに我に返り、次々とメイソンの後を追う。
緋蓮は梁の方を見ると、にかっ、と無邪気な笑みを浮かべた。
どうやら、先程銃を奪ってきた時、一緒に発煙筒も奪ってきたらしい。
褒めろと言わんばかりの、この場に合わない子どもの様な笑顔に、梁は今日一番のため息を吐く。
そして、その場に残っていた構成員に片手を差し出した。
「1本、貸してくれないか。」
「はい。」
構成員は頷いて、梁に一丁のセミオートハンドガンを手渡す。
本来、梁や緋蓮の様な組織の長たるものは、例え抗争現場に居ようとも戦闘に参加する事はありえない。
しかし、彼らの…いや、紫鱗會をまとめる柳家のやり方である【自らの手で引き金を弾き、剣を下ろせ】という名の元、二人はかなりの実地訓練を積んでいるのだ。
「行くぞ、緋蓮。」
「ん。」
梁の言葉に緋蓮も返事をしながら、今度は二丁のフルオートハンドガンを何処からともなく取り出し、安全装置を外す。
再び路地に銃声が響き始める。しかし、今度はその中に断末魔が混じっているところから、メイソンや諜報部の構成員達が近接戦闘を開始したのだろう。
そんな音に全く臆することなく、二人は白煙が揺らめく戦場に、突っ込んでいった。

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Author:川野麟&叶助
・川野麟(小説・ブログ担当)
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