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『何をやってるんだ!』
窓から差し込むネオンの光だけに包まれた部屋の中、イタリア語の罵声が飛ぶ。
『やつらにここを嗅ぎつけられた以上、早く中国内陸地に移動しないと計画が全部パァなんだぞ!』
『そんな事は分かっている!』
部屋にいたもう一人の男も、イタリア語で叫びながら頭を抱えていた。
『21年前に失ったLanciaの権威を取り戻すには紫鱗曾の牙城を崩さなければならないのに、…この計画が頓挫したら10年以上が無駄になる!』
そう言って、男は机に書類を叩きつける。
今は暗くて分からないが、そこには先程緋蓮や梁、諜報部の面々が掃討した一団が運んでいた物が詳しく記されていた。
銃やナイフを初めとする武器、形状を問わない薬類など、この男達の考えた「紫鱗曾を拠点である香港からひっくり返す」という計画に必要不可欠な物ばかりで。
だが、彼らにもたらされた、それらの道具の移動の失敗という情報は、他の手を打たざるを得ないという現実を突きつけていた。
しかし、人間とは欲望の深い生き物である。
『仕方ない…積み荷を見捨てて内陸地まで行くぞ。』
『何を言っているんだ!今まで集めた物も捨てるのか?!』
『お前は自分の命もどぶに捨てる気か!今もこうしているうちに紫鱗會の連中がここに迫ってるかも知れないんだぞ!』
暗闇の中、ぎゃあぎゃあと叫ぶ二人。
店には誰もおらず、建物に面した街道には酔っ払いの声が響いてるため、彼らの声はかき消されている。
……同時に。
今この部屋で起きていることは、外には分からない状態だった。

茶葉問屋の裏勝手口前。
そこにスーツ姿の男が一人やってきた。
彼はしばらく建物を見上げていたが、視線を落とすと同時に勝手口の扉を
…蹴り開けた。

争う二人の鼓膜に、バン!という大きな金属音が響く。
『な、なんだ?!』
『ちっ…早いお出ましだな。』
Lanciaの男――この会社の幹部社員は、そう呟いて、ジャケットの下に隠していた銃を取り出す。
そして唯一の入り口である扉の真横に背を付けると、安全装置を外した。
今外から入って来た相手より、暗闇に目が慣れている自分の方が優勢である。
扉が開いた瞬間に至近距離で発砲してやろう。
彼はそう思っていた。
だが、おそらく複数名で乗り込んでくるであろう相手は、まったく足音がせず、こちらに来る気配もない。
『……?』
不思議に思った彼は、廊下の様子を伺おうと、ドアノブに手を掛け
―――扉を少し開けた。
その瞬間だった。
扉と壁の間に出来た隙間に突然二つの手が差し込まれる。
そして、物凄い力で扉がこじ開けられた。
「き、貴様は…!」
驚く二人の前で、扉の向こうにいたスーツの男……緋蓮がゆっくりと部屋に入ってくる。
そして、それまでずっと伏せていた顔を上げた。
…それと同時だった。
一番至近距離にいた幹部社員の喉元から血飛沫が立ちあがる。
彼の手にはサバイバルナイフが、ネオンの光を反射して銀白色に輝いていた。
彼は、目にも止まらぬ速さで、一人の命を屠ったのである。
「……やぁ。Lancia。」
緋蓮はにっこりと笑いながら、社長の男に迫っていく。
笑顔、と表現するには、明らかに笑っていない目をしてネオンの光を真正面に受ける彼は、まるで怨霊の様であった。
「よくも俺の梁に傷をつけてくれたね。」
「な、なんのことだ?」
「すっとぼけるんだ。外からいっぱい駒連れてきて、ドンパチした癖に。その所為で俺の梁が怪我したんだよ?」
首を傾げ、目を大きく開き、彼は一歩一歩社長の方へと歩んでいく。
「君には罰を与えないと。俺の梁に手を出すのは、紫鱗會の人間でも許されないことなんだよ?ましてやLanciaの君には、もっと酷い罰を受けてもらわないとねぇ。」
言葉の度に笑顔をさらに深くしていく彼と対照的に、社長の呼吸が引き攣っていく。
「た、助けてくれ!」
「やだ。梁は俺が守るんだ。傷付けた奴は…俺が裁くんだよ。」
その、一言の直後。
ナイフが一閃され、部屋が赤く染まったのだった。
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Author:川野麟&叶助
・川野麟(小説・ブログ担当)
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・叶助(イラスト・twitter担当)
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