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ある日、緋蓮は本棚の整理をしていた。
彼の持つ本棚はとても大きく、百冊近くの本がびっしりと入っている。
更に収納されている種別も絵本から解剖技巧書、お菓子のレシピ集から残虐な描写の写真集まで、多種多様なものが詰まっていた。
その全てが緋蓮にとって必要なもので。
だから時々整理と題して、本の並び替えをする。
ただ、その並びは規則性がなく、ただ、並び替えるだけだ。端から見たら何の意味もない行為に見える。
…だが、彼にとって、この整理には重要な意味があった。
本棚を並べ替えていくうちに、明らかに他の本とは装丁の違う、革張りの本が現れる。
緋蓮はそれを手に取ると、にっこりと微笑んだ。
「やぁ。」
くすんだ肌色の表紙を撫で、緋蓮は口にする。
「君は何人目の兄弟だったかな?」
そう口にして、表紙を捲れば、その後ろに小さく数字が刻まれていた。

緋蓮の父親、柳竜風は、完璧主義者であった。
何においても一番を取れない人間は生きている価値はないと考え、ましてやそれが自身の子だったなら、その子を産んだ母親諸共、容赦なく始末した。
緋蓮の母親は、二人目の兄弟が竜風に“できそこない”と判定されてしまい、殺された。
他でもない緋蓮の目の前で。
殺された兄弟の人数は10人を裕に越え、やがて竜風は子の皮を自身の日記の表紙装丁に使い始めた。
その時に作られたほとんどの日記がこの本棚の中にしまわれている。
しかし、人皮装丁を行う前、緋蓮が7歳になる前までの日記は見つかっていない。
だから緋蓮は時々本棚を整理して、その日記を探すのである。
自分が記憶しているより以前の父の肖像を知るために。

手にした日記は、緋蓮と梁が小学6年生の頃の物だった。
もう幾度となく読み返し、叔父の陽緋との思い出話や、竜風が梁を嫌っていた事、緋蓮最後の兄弟を殺した時の事、Lanciaの残党との衝突の事などが記されているもので、緋蓮は何回も目を通した物だ。
「なんだ。君か。」
緋蓮はつまらなさそうに呟いて、日記を閉じる。
そして先程とは異なる場所に日記をしまった。
「新しい日記、なかなか見つからないなぁ…。」
緋蓮はそう呟きながら、違う本を手にして、別の段に入れる。
もちろん本棚は綺麗にはならない。
そのうちどんどん日は暮れて、やがて使用人が食事の時間を告げに来る。
そんな無意味なルーチンワークを彼は幾度となく続けるのであった。
ぐちゃぐちゃな本棚を漁っては、また乱していく。
まるでそれは、彼の心の中を映し出してるかの様だった。
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06/15|小説(本編)||TOP↑
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Author:川野麟&叶助
・川野麟(小説・ブログ担当)
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