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柳緋蓮。
紫鱗曾の所有する娯楽と宿泊施設を運営するグループの総裁。
またの名を…天使の顔を持つ悪魔。


「おはよー。」
「おはようございます。緋蓮総経理。」
香港郊外の山中にある巨大な土地。
その丁度中央にある豪邸から、朝食を終えた緋蓮が出てきた。
彼の前には送迎の車。これから市中にあるホテルへと向かう。
「今日の予定は?」
車に乗り込むなり、自分の後に助手席に乗り込んだ秘書に声を掛ける。
すると秘書はいつも通りに淡々と緋蓮の予定を話し始めた。
「セントラルホテルに到着後、すぐに支配人会議。その後先日連絡があった『お得意様』がいらっしゃいますので、会食になります。その後ヘリで移動され、上海で夜のパーティーのご支度。その後は…」
「その後の事はどうでもいい。…それより、梁の予定はどうなってる。朝見なかったけど。」
「梁総経理は、本日は海外出張のご予定だったはずですが。」
「どこに?」
「マレーシアとインドです。夜には香港に戻られるかと。」
「ふぅん…。」
秘書の言葉に、緋蓮はつまらなさそうに目を細めながら返し、流れ出した車窓へと目をやった。

車で走ること一時間半。
香港市外の一等地に、紫鱗曾がホテル事業を始めた頃から所有するホテルがある。
セントラルホテルと名付けられたそこは、ビジネスマン向けに作られた物だ。
緋蓮は車から降りると、迎えに来た支配人に連れられ、ホテルの一角にある大会議室へと向かった。
そこには既に十数人の男が集まっていて。
その全てが緋蓮よりも遥かに年上の容姿であった。
挨拶の後、緋蓮が最奥の椅子に腰掛け、会議が始まる。
紫鱗曾の会議には二つの種類があり、一つはこの様に表の社会と変わらない運営会議。
もう一つは、マフィアとしての紫鱗曾に関わる会議で、構成員の進退や外部の組織との抗争についての話をする。
どちらの会議にも共通する事項は、全員が紫鱗曾の幹部であり、一枚岩であるという事。
その一枚岩が先代、先々代、それよりも昔から続く統制の産物であるのは言うまでもない。
最近の会議はもっぱらホテルの資金繰りの話であったり、組織の拡充の話ばかりなのだが、先代…つまり緋蓮の父親の時はヨーロッパの組織との大抗争に関わる事案が大半を占めていたらしい。
最近はその様な血の気の多い話題も稀で、平和ぼけしてしまいそうだ、とボヤく幹部も見受けられる毎日だ。
そして、今日も今日とて、比較的順風満帆なグループホテルの運営状況を確認して、支配人会議は終わった。
緋蓮はその足で、秘書だけを連れて最下層の駐車場にあるVIP用の玄関へ向かう。
目的地に着くなり目の前の専用ロータリーに滑り込んできた黒い高級車を見るなり、緋蓮の顔は組織のトップのそれから、人当たりの良さそうな満面の笑みに変わった。
「ようこそお越し下さいました。」
車から降りてきた人物に、軽く礼をすれば、相手の男は笑顔で挨拶を返す。
この男は頻繁にこのホテルや、経営するカジノに入り浸っている有力者で、紫鱗曾とは長い付き合いのある人物だ。
今までも様々な接待をし、情報を提供してもらったり、紫鱗曾の違法行為の揉み消しに協力…いや、利用している。
だが、男の方は自分自身の立場の方が上だと勘違いをしている様で、緋蓮に対しての態度も慢心を描き表した様な物だった。
そんな彼に対し、緋蓮は顔色一つ変えず談笑する。
その笑顔の下に、あくどい男の素顔を隠して。
天使の様な童顔で、相手を騙し、翻弄する。
それがこの柳緋蓮という男のやり方であった。


昼過ぎ。長い昼食の後、緋蓮は自家用ヘリコプターに乗り込んだ。
向かう先は上海。予定は着々と進む。
「さっきの話の内容は記録取ってるな?」
「はい。」
プロペラの爆音の中、緋蓮は秘書に確認をする。
「あとで貿易部にも流しとけよ?…関税関係のところは向こうには欲しい情報だろうからな。」
眼下に広がるビル群が、次第に小さな家々や畑に変わっていく様を見ながら、緋蓮は指示をした。
この国は年々、貧富の格差が拡大しており、紫鱗曾にとっては活動し易い土壌ができあがっている。
緋蓮の纏める宿泊・娯楽関係に特筆するならば、富裕層が増える事で、カジノやホテルを利用する人間が増える。
そして中には金を得るだけの快感では厭きたらず、他の欲望を満たそうとする者が増えてくる。
緋蓮の行う商売は、そこからが本番であった。
法外な賭け金や物品を賭けるカジノ。
高額な『もの』を競り落とす闇オークション。
高い金を積み、欲求を満たす裏のパーティー。
実際の運営は紫鱗曾の幹部が担っているが、その全てを仕切っているのは他でもない緋蓮自身で。
「…これからどんどん格差が広がれば、益々仕事もやりやすくなるな。」
眼下に広がる景色が貧困層が多く暮らす村になっていくのを見ながら、緋蓮はそう呟くのであった。
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Author:川野麟&叶助
・川野麟(小説・ブログ担当)
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