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紫鱗曾貿易部、総経理室。

紫鱗曾宿泊娯楽部、総経理室。
紫鱗曾が香港に持つ最高級ホテルのスイートルームの一室を改造した部屋が、緋蓮と梁の香港での仕事部屋だ。
パスワード付きのエレベーター、更に指紋認証制の扉をくぐり抜けて辿り着けるその部屋に二人が揃ったのは、日付も越えようとした頃だった。

「ただいまー。」
「お帰り。」
パソコンのキーを打つ音が支配していた部屋に、靴音が増える。
緋蓮は纏っていたジャケットを適当に畳んでソファーに投げ置くと、部屋の窓際に据えられた作業机で仕事に打ち込んでいた梁の元へ近付いていった。
「何時からやってるの?」
「8時ぐらいかな。緋蓮は直帰しなかったんだな。」
「ああ。」
会話の最中、二人は目を合わせる事はない。
梁は椅子に座ってパソコンを、緋蓮は机に背を向け、寄りかかって、天井を見上げている。
「今日の収穫はどうだった?」
「ん?商談も月次も問題なかった。ただ、」
梁はそう言って、手元に置いてあった両面刷りの資料を緋蓮に渡した。
「この前の大口の相手、もしかしたら裏にうちのライバルが居るかも知れない。」
「へぇ。」
緋蓮は眠そうに細めていた目を大きく見開いて、資料を読み始める。
そこには梁がマレーシアを離れる前に調査に向かわせた部下が纏めたマレーシアに拠点を置く繊維商品工場の規模や取引関係の一覧が記されていた。
資料を読む緋蓮に、梁はマレーシアの取引で会った社長の発言や行動について説明を加える。
「まだ調査させてる最中だけどな。とりあえず、警告はしておいた。」
「…そう。」
緋蓮は顔を上げずに返事をした。
梁の位置からは見えないその目に、まるで相手を呪い殺さんとでも言いそうな、深い暗闇を宿して。
だが、
「緋蓮はどうだったんだ?今日、例の議員に会ったんだろ?」
「あー、うん、」
そう問い掛けられた瞬間、緋蓮は表情を一変させ、満面の笑みで梁の方に顔を向ける。
「相変わらず、傲慢で、高飛車で、早く奈落に突き落としてあげたい、って思う相手だったよ!」
無邪気、という言葉が似合いそうな顔で、緋蓮は物騒なセリフを吐く。
その言葉に、梁は苦笑いをこぼし、肩を竦めた。
「あ。呆れたな!大丈夫だよ!利用出来るうちはそんなことしないからさ!」
「はいはい。分かったから、仕事終わるまで静かにしててくれ。」
「あ、じゃあこの資料熟読するよ。借りるね。」
「ああ。」
そう言葉を交わして、緋蓮は梁の座る机から離れ、部屋の中央にあるソファーに、ごろんと横になり。
梁は液晶画面に表示された、各地の支社から送られてきたメールに目を通す作業に戻ったのだった。



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